霊場初めの事
四国を参拝なすには順に1番より初めむるも逆に88番よりなすも
中途何れかの道場より初むるも随意で九州は豊後日向以南は凡て伊予の八幡浜へ
九州北地方は豫洲高濱に上陸なし52番の大山寺を中国は今治に上陸し
55番の南光坊山陽は讃岐の多度津に上陸して78番の郷照寺を
尚ほ高松丸亀に上陸なすも好し
5幾以東京阪地方は阿波の撫養岡崎に上陸して有名なる鳴門を見物なし
第1番より礼を初むるが順で撫養に上陸するとせばまず鳴門の潮時を聞き合わせて見物なし
此処より1番まで平なる県道を3里其道筋に(第1番の奥の院)
即ち種蒔大師の霊地なる土御門院御火葬場の御跡あり
旅費及び道程の事
霊場参拝の菩提心あるも旅費の見積立ず折角の志も立ち消えに終る了り惜べし
先四国に渡り一日に1里を8里づつ歩むとして40日間には各奥院まで
納経が受らる而して1日の費は約玄米3舛の價にて充分なり道中全里程は三百里